概要
イギリスでは、Competition and Markets Authority(CMA)の Funerals Market Investigation Order 2021 により、葬儀社と火葬場に価格・事業上の関係などを開示する義務が設けられている。また、プリペイド葬儀プランはFinancial Conduct Authority(FCA)の規制対象である。
一方、葬祭費用の給付と手続きは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドで同一ではない。本記事では全国平均の費用や円換算を示さず、地域を確認して見積りと給付を調べる方法を中心に整理する。
最初に地域を確認する
| 居住地域 | 葬祭費用の主な確認先 |
|---|---|
| イングランド・ウェールズ | GOV.UKのFuneral Expenses Payment |
| スコットランド | Funeral Support Payment(スコットランド政府) |
| 北アイルランド | 北アイルランド向けFuneral Expenses Payment |
名称が似ていても、申請方法、対象となる給付、費用の範囲が異なる。GOV.UKのFuneral Expenses Paymentページも、スコットランドと北アイルランドには別制度・別手続きがあることを案内している。
葬儀の選択肢
| 選択肢 | 見積りで確認する主な項目 |
|---|---|
| 参列を伴う火葬 | 葬儀社の基本サービス、棺、搬送、式場・司式、火葬場、時間帯 |
| 参列を伴う土葬 | 葬儀社の基本サービス、棺、搬送、墓地区画、墓穴作業、式場・司式 |
| 直接火葬 | 遺体の搬送・安置、棺、火葬、遺骨返還、参列・日時指定の可否 |
| 直接埋葬 | 遺体の搬送・安置、棺、墓地、墓穴作業、参列の可否 |
| 宗教によらない式 | 会場、司式者、音楽、火葬・埋葬を別に手配するか |
「direct」「unattended」「simple」などの名称は、事業者によって含まれる内容が異なる。最終的な処置、参列、日時・場所の指定、追加搬送、遺骨の返還までを同じ条件で比較する。
CMAの標準価格表
2021年Orderはイギリス全域に適用され、葬儀社と火葬場に法的義務を課している。葬儀社の標準価格表では、一定の標準化された項目を同じ形式で示すため、事業者間の比較に利用できる。
確認するポイントは次のとおり。
- 標準的な参列葬に含まれるサービス
- 参列しない葬儀の価格
- 追加商品・サービスの価格
- 第三者費用(disbursements)の見込み
- 火葬場の時間帯別価格
- 葬儀社と火葬場・墓地・関連事業者との資本関係や金銭的利害
- 病院、ホスピス、介護施設などへの紹介料・謝礼
標準価格表は比較の入口であり、全費用が自動的に含まれるわけではない。見積書では、火葬・埋葬、墓地、司式、医療書類、花、死亡告知、会食などの扱いを確認する。
公的支援
Funeral Expenses Payment
イングランドまたはウェールズで、一定の所得関連給付や税額控除を受け、故人との関係などの要件を満たす場合に対象となり得る。制度は、必要な火葬・埋葬費用、一定の搬送費などと、その他の葬儀費用の一部を対象とするが、葬儀の全額を必ず賄うものではない。
申請期限は 葬儀から6か月以内。対象給付の決定を待っている場合でも期限内に申請する。葬儀前でも、見積りだけではなく請求書または署名済み契約があれば申請できる場合がある。
故人の遺産から後に回収される場合があるため、支給決定と遺産の取扱いも確認する。
Bereavement Support Payment
配偶者、civil partner、または一定の要件を満たす同居パートナーを亡くした人が対象となり得る遺族給付で、葬儀費用に限定された制度ではない。故人のNational Insurance拠出などの要件がある。
2026年8月確認時点のGOV.UK案内では、全額を受けるには死亡から3か月以内の申請が必要で、遅れると月次給付が減る。通常は21か月を過ぎると受給できない。金額区分と受給資格は家族状況で変わるため、公式の質問項目に沿って確認する。
プリペイド葬儀プラン
プリペイド葬儀プランの提供・仲介は、2022年7月29日からFCAの規制対象である。購入時は次の点を確認する。
- 事業者または仲介者がFCAの認可を受けているか
- 火葬・埋葬、棺、搬送、式場のどこまでが保証されるか
- 地域外搬送、追加料金、物価上昇の扱い
- 分割払い中に死亡した場合の扱い
- 解約・返金、事業者破綻時の保護
認可状況は広告表示だけで判断せず、FCA Firm Checkerで確認する。
見積りを比較する手順
1. 標準価格表を集める
同じ地域の複数の葬儀社と利用候補の火葬場について、標準価格表を集める。
2. 条件を揃える
参列者数、式の有無、時間帯、遺体の保管日数、搬送距離、火葬・埋葬の別を揃えて総額を依頼する。
3. 給付の対象項目と契約項目を照合する
給付の対象だからといって、葬儀社が同額を減額するとは限らない。申請者、請求書の名義、支払時期、遺産からの回収を確認する。
日本から手配するときの注意
イギリスで死亡した人を日本へ搬送する場合、死亡登録、遺体または遺骨の輸出、航空会社の条件、日本側の手続きが必要になる。地域のregister office、現地当局、在外公館、国際搬送に対応する葬儀社へ確認する。
→ 各国で費用に含まれる範囲が異なる点は葬儀費用の国際比較表も参照
出典・公式情報リンク
出典: Competition and Markets Authority「Funerals Market Investigation Order 2021」(2026年8月閲覧)
出典: GOV.UK「Funeral Expenses Payment」(2026年8月閲覧)
出典: GOV.UK「Funeral Expenses Payment: Make a claim」(2026年8月閲覧)
出典: GOV.UK「Bereavement Support Payment」(2026年8月閲覧)
出典: GOV.UK「Bereavement Support Payment: What you’ll get」(2026年8月閲覧)
出典: Financial Conduct Authority「Regulating the funeral plans sector」(2026年8月閲覧)
出典: Financial Conduct Authority「Funeral plans: check your provider is authorised」(2026年8月閲覧)
調査カード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査日 | 2026年8月1日 |
| 調査範囲 | CMA標準価格表、Funeral Expenses Payment、Bereavement Support Payment、FCAのプリペイド葬儀プラン規制 |
| 主な情報源 | GOV.UK、Competition and Markets Authority、Financial Conduct Authority |
| 未調査項目 | 各自治体・火葬場・墓地の料金、スコットランドと北アイルランドの申請書類詳細、国際搬送の地域別手続き |